観光ガイドとまちづくり

■まちづくりと観光ガイド

旅先で『〇〇から来ました』と言って、『良いところに住んでいますね』と言われうれしくなったことや、初めて訪れる土地でトイレを探すのに苦労した経験は多くの人が持っていると思います。

来訪者や観光客は、ガイドブックやスマホを持っていても、さまざまな場面でいろいろ情報を必要としています。まち歩きや建物について然り、交通手段、食事、休憩場所、買い物、トイレなど、情報が多いほど観光を楽しむ事が出来ます。

 

たまたま立ち寄った店での接客態度や道を尋ねたときの地域住民とのふれあいなどが、楽しい思い出として心に刻まれたり、逆にその触れ合いによって観光そのものがいやな思い出になってしまうこともあるでしょう。

  訪問の目的を達成した、堪能したとしても、『再び訪れたい』『他人にも勧めたい』という、一歩次元の高い満足感を持ってもらうためには、観光ガイドを行う上でも更なる工夫と努力が必要で、この究極の目標達成する意識と活動がまちづくりに寄与する根源と考えています。

 

 観光ガイドを構成している要素として次の三つが挙げられます。

  1. 相手の要望する対象(物、人物、建造物、遺跡、景観・・・)についての説明
  2. 会話(案内役と聞き手のコミュニケーション、会話力、説明力)
  3. 相手の立場に立ったおもてなし(気配り、応変力、ユーモア)

 佐倉の旧城下町地区では、ボランティアも含め多くの観光ガイドが日々活躍して、地域活性化やまちづくりに寄与している事は衆目の認めるところです。

しかし、『たかがガイド、されどガイド』といわれるように、来訪者や観光客の心が少しでも潤い、豊かな気持ちを感じてもらえるような、そんなガイドが出来るのは簡単な事ではありません。

 

観光ガイドの実践編については第2部で詳述しますが、おもてなしの気持ちを持って、質の高いガイドをすることによって、

  来訪者の目的達成の手助けをすることで訪問の目的を堪能してもらう。

  来訪目的に、更にプラスの部分を作り出し、また来たいと思ってもらう。

  他の人にも佐倉に来る事を勧めたい気持ちになってもらう。

といったような、次元の高い成果に結びつくことが期待出来ることにもなります。

 

【1】文化資産の保存

 日常の生活に多少ゆとりのあるシニア年代の人達は、ある事をもっと追求したい、深く学んでみたいと好奇心も旺盛で、多くの事について知りたい、経験したいという欲求を持っています。

  (1)心の癒しを歴史あるものや文化に求めたい。

  (2)特に佐倉(郷土)の歴史・文化を身近に学び触れたい。

  (3)歴史的建造物や昔の職人技術に興味や関心がある。

  (4)健康をかねて歴史・文化関連の場所をあちこち訪ね歩きたい。

  (5)理屈無く美しいものに惹かれ、歴史的なものや物語にある種のロマンを

     感じる。

 そして、身に付けた知識や経験を、広く役立てたいという欲求につながっていくことも自然の姿ではないでしょうか。

 

 古い建物や遺跡、昔の人々の生活様式や生業の様子を見たり体験する時、一種のノスタルジアを感じた経験は誰しもが持っていることでしょう。

 特に古い建物や遺跡・遺構、それらにまつわる先人の苦難や歴史話は、人々にロマンとひと時の安らぎを与えてくれると同時に、現在の私たちの平和で豊かな生活が、先人たちの苦労の上に成り立っていることに気づきます。

 

【2】佐倉旧城下町の観光資産

  1. 佐倉の旧城下町の魅力を感じたい時には、時代の風情を感じたり景観を楽しみながら、テーマを絞ったコースでのまち歩き。
  2. 佐倉城跡(佐倉城址公園)や武家屋敷といった、江戸時代の侍の暮らしを大きなテーマにした散策。
  3. 江戸時代から明治・大正・昭和と歴史を刻んだ佐倉新町地区の、景観・歴史建造物、史跡・社寺巡りを中心に、その歴史や変遷を知る散策。
  4. 旧堀田邸や順天堂記念館などの公開文化財施設を訪ねて、木造建築の素晴らしさを観賞したり、当主や創設者の人物像や事績に触れるとともに、当時の社会情勢や秀でた日本の文化・科学・技術を学ぶ。
  5. 続日本百名城にも選定された中世城郭「本佐倉城跡」や、平将門や佐倉惣五郎の伝承話や関連史跡を散策。

 

    ※ 本佐倉城(跡)は、旧城下町と距離的には少し離れるが、佐倉城下町の

     成り立ちを知る上で密接な関係があり、あえて城下町地区に含めた。

 

 

【3】文化財と観光づくり

 文化財の指定が低いから見る価値が低いとか、文化財の指定が無いからといって古いものを粗末にして良いという考えは間違っています。

 しかし、指定が無いよりは在る方が、低いよりは高いほうがより関心が高く興味が高まるのもこれまた事実です。そういった面でも、旧堀田邸が国の重要文化財(建造物)に指定されたり、庭が堀田正倫庭園として国の名勝指定を受けたこと。

 更に、佐倉城(現佐倉城址公園)が日本百名城に、本佐倉城が続日本百名城に選定された事などは、地元佐倉として誠に喜ばしいことといえます。

 

 文化財など無くとも生活に何の支障も無い。地域開発の妨げにとか、文化財があるために道路の整備もできないなどと考える人もいるかもしれませんが、文化財があることによって日常生活に潤いを与え、また、それを生かした観光で地域の産業が活発化している所も全国各地にあります。

 

 歴史や文化を研究する上で文化財は大切だし、文化財と一体になって生活している人々や地域もあり、知らず知らずのうちに地域の人々の支えになっていたり、地域を誇りに思う源になっていたりすることもあります。

 そして、文化財は単体で存在するのではなく、その付近の景観を創りだしたり、周囲の景観と一体になってより存在感を高めることもあり、まちづくりにおいても大変重要な存在です。

 

 地域にある文化資源・観光資源を生かした「まちづくり」につながる活動を、一般的には「観光づくり」と呼びます。

 そして、観光づくりにはいくつものハードルがあることを十分承知の上で、あえて提言すると、新しい事を発明するとか創造するのは難しいので、地域の観光資源となりうるものを今一度棚卸をして、地域づくりの視点で再生や保全・活用することです。歴史・文化資産が存在するだけでは意味がなく、どのように観光資源として活かすかの工夫や創造力を発揮する事ではないでしょうか。

 

 

【4】観光ガイドとまちづくり

  1. 来訪者の『訪問の目的を達成・堪能した』 『再び訪れたい』 『他の人にも勧めたい』 という、一歩高い次元の満足感に結びつける為には、受け入れる側にとっては格段の努力と準備が求められるのは当然で、そのキーポイントが「おもてなしの心」です。
  2. 訪れた土地の人達との暖かい触れ合い、心のこもったサービス、行き届いた来訪者・観光客への配慮、そうしたものは時として観光施設をみることよりも深い感動をもたらすものです。 
  3. 地域として来訪者・観光客をどのように受け入れるか、迎え入れるかという問題は、市民や各人の意識の問題と、ハードとしての駐車場の整備や町なかの案内標識板、トイレの問題、レストランや土産物売り場の整備などを、来訪者・観光客を意識して如何に整備するかです。
  4. 来訪者・観光客のおもてなしに、接客についてのマニュアルや規則を作ってそれを前面に出すのは、かえって来訪者には冷たい印象を与えることにもなりかねません。困っている人に手を貸す。 道を教えてあげる。 写真を撮ってあげる。 椅子を用意してあげる等の、一寸した親切が最高のおもてなしになります。
  5. 高齢者や障害者に対しては、『何かお手伝いしましょうか』と、一声かける事が如何に来訪者の心を和ませるか、そして、このような事を一部の人達だけで行なっても効果は薄く、市民一人ひとりが、訪れる人に対し気配りと思いやりをも持って、その場の状況に応じた対応をしていきたいものです。    
  6. 来訪者・観光客が、もしも個々の景観や場所・施設に満足しても、佐倉という 「まち」に感動しないならば、見方を変えれば、私たちの「まち」は、まだ住んで良い「まち」になっていないことと共通するかもしれません。訪れてよい「まち」が、そのまま住んでよい「まち」とは一概に言えないかも知れませんが、「まちづくり」の大きなヒントがここに隠されているように思います。
  7.  「住んで良かった」、「住みたい」と、自信を持って言えるように、地域の住民が、自分達の「まち」に誇りが持て、市民だけでなく外からも評価されるような「まち」、即ち、『訪ねてよかった「まち」』、『もう一度訪ねたい「まち」』、それが究極的なまちづくりの目標と確信しています。

―以上ー

 

《第2部 観光ガイドの魅力は こちらへ》

     観光ガイドの推進は こちら

 

 ■コラム

 ヨーロッパなどに旅すると、町中いっぱいに花が植えられ、飾られている風景によく出合います。ドイツなどでは『花は自分で愛でるよりも、街路を通る他人の目を楽しませるもの』といった市民意識があります。

 日本でも過去にこんな新聞記事を目にされた読者も多いと思います。

『松江城の水堀には、今は観光船が行き来して旅人を楽しませてくれていますが、堀に船を通すという話が出た時には、『家を裏側から見られる』とか、『防犯上問題だ』といった多くの反対があったそうです。

 それが数年前からは、堀側の民家では『船のお客様から観てもらえるように』と、費用を惜しまず自分の庭先に花を植えたり置物を飾って観光客をもてなしてくれています。

新型コロナウイルス蔓延に伴い、妊産婦の方々が必要とされる品物についての橋渡し事業を始めます。

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